健康のためにと思って散歩に出かけました。
普段使っているブーツはいい加減右かかと部分が摩耗し過ぎて、そのせいで靴を履いていないときにも右足首に変調を来すくらいにまでなってしまったため、今日は10年前に買ったバスケットシューズを履いて散歩に出たのですが、途中で左の靴底がかかとからベロッと剥がれはじめまして。
はじめのうちはペコペコいいながらも歩行に支障を来すほどではなかったのですが、そのうちみるみるつま先の方まで剥がれてしまって、どうにも歩きにくくなってしまったので、靴を脱いで裸足で残りの2kmほどを歩いて帰宅しました。
石を踏んだりして結構痛かったけれど、まあなんとかなるもんです。
せっかく意気揚々と散歩に出たのになあ、とボロボロになった靴を手に眺めながら、なんだかここ数ヶ月の自分の状態を象徴するような出来事だなとぼんやり思いました。
善かれと思ってやったことやこれまで積み重ねてきたもの、新しくこれにトライして自分の幅を広げて先へつなげていこう!・・・・と思っていた矢先に、全部無駄だしやめて帰れ、と言われているようです。
ここ数日間、形容しがたい無力感や虚無感に苛まれている原因のひとつは、宮崎駿監督の引退宣言です。
本当に青天の霹靂でした。
大げさに聞こえるかも知れませんが、僕にとっては人生の師は宮崎監督でした。作品が好きとかそういうこと以上に僕は彼の作品や発言や生き方から多くのことを受け取り学びました。他の誰よりも彼から影響を受けてここまでやってきたし、僕なんか比べ物になりはしないけれどそれでも背中を追いかけているような気持ちで生きてきたのです。
もちろん宮崎監督もいつまでも作り続けられるわけではないし、そろそろ最後だろうなという予感はありました。覚悟もしているつもりだったんですけどね・・・・でもショックでした。
足下に巨大な穴がぽっかりと口を開けたような、同時に全身の力が抜けてしまったような感覚に襲われて、何をしても上の空になった状態で数日を過ごし、引退会見の中継もネットで視聴しました。
「アニメーターという職業は自分に合っているいい職業だったと思っています。」という監督の言葉は本当に重く突き刺さりました。そう言える生き方を求めていたし死ぬまで求め続けるんだろうなと思っていましたが、それも叶わなくなりそうな今となっては、死ぬほど羨ましい言葉です。
ともあれ、長編アニメーション映画からの引退であって、まだまだやりたいことをあと10年はやるぞ、という意気に溢れた宮崎監督の姿はとても頼もしく、会見の映像を繰り返し見るうちに沈んだ気持ちも少しずつ上向いてきました。上向いた矢先の散歩中に靴底がはがれたんですけどね。
映像と言えば、今日ニコニコ動画で、アメコミヒーロー映画をマッシュアップした素晴らしい動画に出会いました。
My Chemical Romanceのエモーショナルな名曲”Welcome to The Black Parade”にのせて、素晴らしい編集でつなぎあわされたヒーロー達の勇姿ーピンチの時には誰よりも早く駆けつけ、傷つき苦しんでも立ち上がり、世界中に否定されても己の正義を信じて再び悪と闘って去っていくーを観ているうちになんだか泣けて泣けて仕方がありませんでした。映画の中の架空の人物なのに「ありがとう」と言いたくなる時って、ありますよね。エンターテインメントにはそういう力があると思います。
バットマンは「誰でもヒーローになれる。特別なことをしなくても。傷ついた少年の肩に上着をかけ、この世の終わりじゃないと励ませばいい」と言っていましたが、この言葉が僕の中では宮崎監督と結びつきました。
多分僕にとってこの現実世界でのヒーローは宮崎さんだったんだと思います。
なんだかセンチな日記になってしまいましたが、もう少し頑張ってみようと思いますよ。履く靴がなくなっても裸足で歩き続けるつもりで。
それでは、また。
[4回]
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